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a)260mm試験エンジン
ミラーサイクルを適用し、高出力を達成するには、サイクルシミュレーションの結果で、従来(3kgf/cm2)よりも高い4kgf/cm2以上の給気圧が必要であることがわかった。(図5、6)
このため、260mm試験エンジンでは「超高圧過給機」の開発および「シーケンシャル過給方式」を適用した。(図15)
超高圧過給機を開発するにあたり、圧力一風量、圧力一効率の関係を計算し、高圧力化のためタービンノズル、タービンホイール、インペラおよび軸受を変更した過給機を設計、製作した。(図16〜20)
また、高圧力化に伴い圧縮された空気の温度が上昇するため、インペラの材質が、これまでのアルミ(A1)では強度不足と考えられたため、構造材料として、より高温強度にすぐれるチタン(Ti)を採用した。

 

b)320mm試験エンジン
出力率390を達成するためには、ミラーサイクルの適用が必須であり、このためには、サイクルシミュレーションの結果より、約6kgf/cm2という従来の2倍以上の給気圧力が必要であることがわかった。
この給気圧力を達成するためには、1台の過給機だけでは対応困難であり、低圧段側過給機と高圧段側過給機の2台の過給機を組合わせた2段過給方式の採用が必要であることがわかり、低圧段側過給機と高圧段側過給機それぞれの給気圧のバランスを考慮して過給機の形式を選定した。(図21〜26)
低負荷時は排気ガス量が少なく、低圧段側過給機が十分に作動できないものと考えられた。
この場合、低圧段側過給機は抵抗となってしまうため、低圧段側過給機と高圧段側過給機を結ぶ給気管、排気管のそれぞれにバイパス弁を設置した。排気ガス量の少ない低負荷時には、この弁を開き、主に高圧段側過給機を作動させ、排気ガス量が増加した高負荷時には弁を閉じて目標とする給気圧を得ることとした。
また、今回は特殊材料の必要性やサージマージンに対応した導入静翼制御方法の確立などの技術的課題の解決に困難が伴うため、2機2段過給方式を採用したが、軽量・コンパクト化を追求する場合は、1つの排気タービンに2段の給気インペラを接続した1軸2段過給機の開発が必要と考えられる。(図27)

 

 

 

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